日本政策投資銀行(DBJ)がグリーン不動産債券を発行、発行額は2億5,000万ユーロ(3億1,500万ドル)、表面利率0.25%、償還期限3年、格付けAa3/A+、応札倍率3倍。日本の機関投資家のグリーンボンド投資の引き金となるか。(For Japan)

A note for our readers in Japan, marking the importance of the Development Bank of Japan green bond.

日本政策投資銀行(DBJ)が日本の発行体として初のグリーンボンドを発行した。発行額は2億5,000万ユーロ(3億1,500万ドル)、表面利率0.25%、償還期限3年。ムーディーズ及びS&Pの格付けはそれぞれAa3、A+。応札倍率は3倍以上の7億5,000万ユーロ以上で、日本のグリーンボンドに対する非常に強い投資家需要を確認した格好だ。引受主幹事はバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、モルガンスタンレー、シティ、大和証券。同債券は外部認証機関DNV-GLより認証を受けている。

調達資金はDBJ Green Building認証システムに基づくグリーン不動産5件へ融資される。同行の認証システムでは社会面、災害予防・管理面に加え、エネルギー効率、節水、水資源の再利用等で不動産を評価する。

グリーンボンドの売出・販売は既に日本で始まっているが、日本の機関が発行体となる案件はこれが初めて。このDBJによる起債が、国内個人投資家・機関投資家によるグリーンボンド需要を象徴し、社債市場で今後さらなるグリーンボンド発行が誘発されるとみられる。もちろんさらなるグリーンボンド発行でそれが証明されることが望ましいが、我々は日本国内投資家からの引き合いが強いとみている。

DBJは同行のGreen Building認証システムで最高評価に属する5件の不動産を選定し、投資対象とした。この選定過程は融資候補の推薦や償還資金の一時的保有等を含むDNV-GLによる認証で規定されている。こうした選定過程の透明性は投資家がグリーンプロジェクトに自信を持って投資するために非常に重要である。

不動産は実績のある基準において認証を受けるべきであり、DNV-GLによる外部認証では融資対象の不動産が世界的なグリーン不動産の評価基準である英国のBREEAM、米国のLEED、日本のCASBEEや東京都不動産環境基準相当であることを示している。しかし同行の基準がLEED BasicまたはLEED Goldといった特定の認証を要求していない点では改善の余地がある。ただしDBJはこれら不動産の環境パフォーマンスを随時報告することにしており、認証時の一時的な評価に比べ、投資による環境面での恩恵についてより有用な情報提供となるだろう。

このグリーン認証基準が環境面において17点満点に対する得点で評価され、自己評価的な側面がある点には懸念が残る。例えば東京都の排出権取引での評価項目と関連付けることでさらに改善は可能であろう。我々はDNVにDBJの認証基準について公の場での評価を期待する。

無論DBJは一流の機関であり、投資家そのたステークホルダーから信頼されている。今後取り組むべき課題はさらなる発行によりグリーンボンド起債を通例化することである。それは企業によるグリーンボンド発行を促すことにもつながり、DBJの公的機関としての重要な役割であると考えられる。

いずれにしても最も重要なことは日本政策投資銀行が日本のグリーンボンド市場で発行体としての草分けとなったことだ。

ブラボーニッポン!

Translation thanks to Kazutaka Kuroda.

Or read the English language version.