Press Release
東京都、世界初の「クライメート・ボンド認証レジリエンスボンド」を発行
Published: 10 Oct 2025
―適応・レジリエンス資金調達の国際的な先例に―
2025年10月10日 東京/ロンドン
クライメート・ボンド・イニシアチブ(Climate Bonds Initiative)は、東京都が発行する「TOKYOレジリエンスボンド」をクライメート・ボンド・レジリエンス・タクソノミー(CBRT)に基づき認証しました。これは、クライメート・ボンド基準においてセクター別クライテリアとCBRTを併用した世界初の認証事例であり、クライメート・ボンド認証制度の拡大における歴史的な節目となります。この債券に関する第三者による検証報告書は、Climate Bonds Initiativeが認定する検証機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)によって作成されました。
東京都は「TOKYO強靭化プロジェクト」によって、洪水、高潮、台風など気候関連リスクへの首都のレジリエンスを高める取り組みを推進しています。本債券はこの取り組みを支えるもので、東京都は1,400万人の都民の生命と暮らしを守るとともに、気候変動適応への投資を推進するリーダーシップを発揮します。
調達資金は、以下の事業に充当されます:
- 中小河川の整備(豪雨等に対処するため、護岸や調節池等を整備)
- 東京港・島しょ海岸保全施設整備事業(高潮等による被害を防ぐため、防潮堤等を嵩上げ)
- 河川施設の耐震・耐水化(高潮による被害を防ぐため、堤防等を強化)
- 無電柱化の推進(暴風雨等による電柱の倒壊を防ぐため、電線類を地中化)
- 土砂災害対策施設・海岸保全施設の整備(暴風雨による土砂災害や波浪被害等を防ぐため、砂防施設や護岸等を整備)
- 港湾建設事業(暴風雨による波浪に対して、岸壁等の耐力を向上)
今回のTOKYOレジリエンスボンドの認証は、適応・レジリエンス資金調達の拡大に向けた大きな前進を意味します。これまでクライメート・ボンド認証は主に温室効果ガス削減やトランジション分野に焦点を当てていましたが、レジリエンス・タクソノミーと基準の導入により、発行体は科学的整合性と市場からの信頼を確保しつつ、適応・レジリエンス投資のための資金動員が可能となりました。
クライメート・ボンド・イニシアチブ CEO ショーン・キドニー:
「東京都はレジリエンスボンドとして世界初の認証を取得し、再びそのリーダーシップを示しました。この認証取得によって、洪水や高潮、台風から数百万の市民を守る事業に資金を振り向けることで、東京都は世界中の都市にレジリエンス投資を促す先例を築きました。レジリエンス・タクソノミーに基づく初の認証は、適応とレジリエンスに特化した新時代の金融を創出するものであり、サステナブル・ファイナンス市場における歴史的な瞬間です。」
東京都 財務局長 山下聡:
「日本はもちろんのこと、世界各地において温暖化により激甚化する風水害への対策が急務となっています。このような中、東京都が率先してこれらの気候変動適応策への投資を促進することが重要であると考え、レジリエンスに資する資金調達の新たなモデルとしてのTOKYOレジリエンスボンドを発行することにいたしました。レジリエンス・タクソノミーに基づく初の認証は、金融の力を活用して持続可能で強靭な社会の実現を目指す東京都の取組を大きく後押しするものです。この度の認証を梃子に、より一層安全・安心な都市・東京に向けた施策を進めていきます。」
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【取材・問い合わせ先】
Leticia Braga
コミュニケーション・スペシャリスト
Climate Bonds Initiative
leticia.braga@climatebonds.net
【編集者への注記】
■ Climate Bonds Initiativeについて
Climate Bonds Initiativeは、気候変動対策に向けた国際的な資金動員を主導する非政府組織です。タクソノミーや基準、認証制度、データ・分析、政策提言など科学的根拠に基づく枠組みを通じて、グリーン/サステナブル債市場の成長を推進しています。詳細は当団体のウェブサイトをご覧ください。
■ クライメート・ボンド基準(CBS)について
クライメート・ボンド基準は、投資家や仲介機関が債券やその他のサステナブル金融商品の気候整合性や環境的整合性を評価できるように設計された、複数セクターにわたる科学的フレームワークです。最新版(v4.3)では、資金使途特定型債券、資産、事業体、サステナビリティ・リンク型負債性金融商品などを対象としています。
■ 東京都について
東京は、政治・経済の機能が高度に集積する日本の中枢であると共に、日本の1割を超える人口を有する世界有数の大都市です。東京都は、気候変動に伴い激甚化する風水害などの災害時でも住民の生命や暮らしを守り、都市機能や経済活動を維持するため、将来を見据えた先進的な対策を進めています。さらに、日本の地方公共団体として初めてグリーンボンドやソーシャルボンドを発行するなど、持続可能で強靭な社会の実現を金融面から支えるため、「サステナブル・レジリエントファイナンス」のリーディングシティを目指しています。
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